アスレティックトレーナーになるためには
【お知らせ】NATAは、2022年までに認定カリキュラムを四年制大学から大学院のプログラムを完全移行させるポリシーを公表しました。従って日本で高校卒業又は専門学校卒業の方が、アメリカの4年制大学では公認資格を取得することが出来なくなりました(一部学校を除く)。公認資格を取得したい場合は、大学院の修士課程を修了する必要があります。
大学入学から卒業までの流れ
① 認定校への入部
NATA公認アスレティックトレーナー(ATC)になるためには、アスレティックトレーニング教育認定委員会(CAATE)公認の大学に設置されたアスレティックトレーニング学科を卒業し、認定資格に合格する必要があります。学部での履修期間はCAATE認定校によって異なり、入部にあたり事前に履修すべきクラスを設定しています。認定校は全米で約350校あり、プログラム在籍期間は学校によって異なります。
認定校の探し方
CAATA(Commission on Accreditation of Athletic Training Education)のサイトより最新の認定校情報を検索することができます。地区(州)や学位レベルなどでフィルタをかけ、自分の要望に近い学校を探すことができます。
検索サイトはこちら(英文)≫
② 学部入学を目指す
アスレティックトレーニング学部に入るためには、入部前に履修が義務づけられている科目において学部が定めた基準以上の成績を収めておく必要があります。英語を母国語としない留学生の皆さんにとって、まずは基本となる英語をしっかりと身につけることが、一流のATになるためのスタートラインとなります。
学部入部条件(例) *大学によって異なる
大学卒業資格
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四年制でアスレティックトレーニングを専攻している必要はない。
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必修クラス
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下記のクラスで”C”以上の成績(70%以上)が必要。
・アスレティックトレーニング基礎学(Introduction of Athletic Training)
・バイオメカニクス(Biomecanics)
・運動生理学(Exercise Science)
・筋肉学(Kinesiology)
・解剖生理学1(Anatomy and Physiology / Lab 1)
・解剖生理学2(Anatomy and Physiology / Lab 2)
・一般心理学(Introduction of Phychology)
・栄養学(Nutrition)
・心肺蘇生法(First Aid / CPR) など
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3.0以上のGPA
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四年制在籍時の評定平均(Grade Point Average)が3.0以上(4.0中)あること。
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推薦書類
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過去に所属していた部活動の指導者や大学の教授、もしくはスポーツ医学に関係のあるトレーナーや、理学療法士、ストレングスコンディショニングコーチからの英文の推薦書類。推薦者には学部から連絡が入ることがある。
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エッセー
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入部希望を記載した英文エッセー。アスレティックトレーナーになりたい理由や過去の実習経験、将来の人生設計などをまとめる。
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現場実習経験
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NATA公認アスレティックトレーナーの監視下で最低50時間程度の現場実習経験。日本国内でも取得可能。証明方法は学部指定の書類での提出と、個人で用意する場合がある。
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③ 成績維持・現場実習
アスレティックトレーニング学部に入ると授業の他に部活動や病院での実習活動が始まります。学期ごとに配属先が変わり、あらゆるスポーツに起こりうるケガやその背景などを現場実習で学んでいきますCAATE認定校では学部最低基準を設けており、基準値を下回ると実習停止、成績不振の要因となるクラスの再履修、場合によっては学部からのキックアウト(=退部)を受ける場合があります。しかし、一方では好成績を維持していると、主席として学校・学部から表彰され、返済不要の奨学金を配当されることがあります。
学部在学中に履修するクラス一覧(例) *大学によって異なる
Weber State Univesityの場合 |
Missouri State Universityの場合 |
Research Methods I (3)
Research Methods II (3)
Research Methods III (3)
Orthopedic Assessment – Lower (3)
Orthopedic Assessment – Upper (3)
General Medical in AT (3)
Basic Modalities (3)
Advanced Modalities (3)
Psychology of Sport, Injury, & Rehabilitation (3)
Orthopedic Taping, Wrapping, & Bracing (1)
Basic Rehabilitation (3)
Advanced Rehabilitation (3)
Introduction to Graduate AT (2)
AT Management (3)
Advanced Diagnostic Imaging for AT (1)
BOC Prep (1)
Spine and SI Joint (2)
Critical Thinking (1)
Graduate Practicum I (2)
Graduate Practicum II (3)
Graduate Practicum III (3)
Graduate Practicum IV (3)合計: 53~54単位 |
Special Topics in Appl (3)
Foundations of Therapeutic Interventions (3)
Applied Therapeutic Interventions (3)
Applied Therapeutic Rehabilitation (3)
Care & Prevention of Athletic Injuries (3)
Care & Prevention of Athletic Injuries Lab (1)
Functional Movement Lab (1)
Diagnosis & Immediate Care of the Spine (3)
Diagnosis & Immediate Care of the Spine Lab (1)
Diagnosis & Immediate Care of the Upper (3)
Diagnosis & Immediate Care of the Upper Lab (1)
Diagnosis & Immediate Care of the Lower (3)
Diagnosis & Immediate Care of the Lower Lab (1)
Pathophysiology & Pharmacological Interventions (3)
Physical Exam Lab (1)
Administration of Health Care Systems (3)
Research Project (3)
Applied Research (2)
Athletic Training Practicum I (3)
Athletic Training Practicum II (3)
Preseason Athletic Training Internship (1)
Athletic Training Practicum III (3)
Athletic Training Practicum IV (3)合計: 54単位 |
現場実習先
学期毎に配属先が変わり、様々な種目や環境下で現場実習を積むことができます。またNATAで定められた実習テーマに沿って実習課程を行う必要があるため、希望の種目や現場を指定することができません。
① 危険度の高い種目
フットボール、ラクロス、ラグビーなど
② 試合数の多い種目
野球、バスケットボール、ソフトボールなど
③ 未成年スポーツの環境
中学・高校など
④ 異性スポーツの現場
女子サッカー、女子バスケなど(男性の場合)
⑤ 医療福祉機関
病院、整形外科、老人ホームなど
④ NATA認定資格取得
学部在学中に履修するクラスを全て終了(または終了見込)すると、国家資格作成団体であるBOC(Board of Certification)の認定資格を受講することができます。CAATEのサイト(英文)では、過去の合格率を学校別にデータでまとめているので、学校選びの際に役立つかもしれません。
またNATAの認定資格を取得しても、2年毎に資格更新のためにCEU(Conituing Education Units)と呼ばれる「単位」を取得しなければ、資格が剥奪となってしまいます。